廃用身

あるライターが特殊な医療について取材した、ルポ風のフィクション作品です。

架空の老人ホームが舞台です。

ある医師が純粋な医療者としての想いから、病気や事故により機能しなくなった「廃用身」と呼ばれる手足を切断するAケアという処置を提案します。

そしてあるライターがそのAケアついて取材した様子が描かれています。非常に興味深く、面白いです。

処置内容だけではグロテスクな内容だと思われてしまいそうですが、医学的見地がしっかり描き込まれており、とても考えさせられます。

動かなくなった体の部位を切断することで、介護士の負担が減り、本人も動きやすくなるといったメリットが説得力を持って描かれています。

その一方、いくら動かなくなったからと言っても、切断してしまうのはどうなのか?という、倫理観が問われます。

もし自分の手足が事故で動かなくなってしまったら、このケアを受けたいだろうかと考えてしまいました。

とても分かりやすく、また途中で刺激的な描写も入るので、重たい話の割に読みやすい文章です。

読む人によっては本当に不快になるかもしれませんが、このような処置が実際におこなわれることになったとしたら予想できる内容でもあります。

介護問題が深刻化する昨今、近い将来に提案されてもおかしくないような気がしてくる作品です。

ページの最初から最後まで、本物のルポ風で統一されているので、更に現実味があります。

決して明るい内容ではありませんが、これからの介護問題について非常に考えさせられる、よい本です。