カフカ

変身」は主人公であるザムザがある朝目覚めると虫になってしまうお話です。

社会的関係、家族関係から排斥され、孤独に死んでゆく物語であります。

ザムザは1世帯を養うため営業マンとして働いていましたが、ある朝虫になっている自分に気がつきます。この状況を他人に知ってもらおうと決心し、自分の姿を家族と仕事仲間に見せましたが、案の定、驚きと侮蔑をもって迎え入れられることになります。

その後、家族はこの大きな虫がザムザであるということを徐々に受け入れ、食べ物の世話だけはするようになっていきますが、家族間のつながりも社会的ネットワークも完全に崩壊していってしまいます。ザムザの収入がなくってから、生計をたてていくことが困難になり、家の空き部屋を貸すようになりますが、その居住者にはばれないように過していかなければならなくなりました。ザムザはだんだん虫的な喜びを見出して、だんだんそれに愛着をもっていくかのように感じるほどですが、やはり自分は人間なのだと自覚しなおし理性をとりもどそうとする場面も見受けられます。そうこうしている内にある事件がきっかけで居住者に姿がばれてしまいます。それがトリガーになって、家族の真意を知ることになったザムザは、なにかを悟った者のように静かに息絶えるのです。

作品の時間性は非常にスタティック(静的)な流れかたをしてはいますが、その中にもダイナミックな変化が隠されおります。

それはザムザ自身が感じる「変化していくこと」への恐れと「そのままでいること」の安心のジレンマが生み出す力動であると思います。