「闇の守り人」について

この本は、NHKで放映されていた、綾瀬はるか主演の「精霊の守り人」の続編の内容です。
この守り人シリーズの中で、私が一番好きな話です。主役は、女用心棒のバルサが、故郷であるカンバル王国に戻り、そこで養い親であるジグロとのエピソードが描かれています。著者である上橋菜穂子先生の特徴として、あたかも、読者をその架空の世界へ誘う力が、けた外れにすごいのです。まず、その地域の特徴、政治、気候、道の険しさ、生息している動物のリアルな描写、持っている武器など。ファンタジーでありながら、まるで、隣国であるかのような気がするほどの、細かいディテール作りで、自然とその世界に誘われてしまいます。
特にカンバル王国は、冬が寒く、急峻な山々が聳え立つ、厳しい環境です。その国の深い洞窟の中で行われる儀式を巡って物語が展開していきます。その儀式に参加できるのは、王のお側近く控える王の槍と言われる男子だけ。
その秘密の儀式に、主人公であるバルサがどう絡んでいくのか。
この、クライマックスは、予想を超える内容で、最初読んだ後、絶句してしまいました。でも、その後、体の中に、このファンタジーの醍醐味がじわっと、漢方薬のように効いてきて、なんとも、さわやかな、癒された気持ちになりました。
一冊の本で漢方薬のような、さわやかな読後感がある本にはなかなか出合えないと思います。
特に、多くの伏線があり、その一つ一つを丁寧に回収しているからこそ、最後に読者は、納得するのだと思います。とにかく読んでほしい一冊です。