フェチ心が詰まった「森薫拾遺集」

「乙嫁語り」で有名な森薫先生の、短編漫画集です。そのうち、アンソロジー企画の為に書き下ろした作品達は、それぞれ「水着」「バニーガール」などのテーマがあり、森先生の美麗な絵と、魅力的な女性達を存分に楽しめます。

メイドや民族衣装など、好きなモノをいつも、魅力たっぷりに描く先生。この本に収録されているのは、数ページから数十ページの短編ばかりですが、それだけに色々な味わいを楽しめ、幕の内弁当のようなお得感があります。

素敵な作品ばかりですが、私が特に好きなのは、二つ。

一つ目は「巣穴紳士倶楽部」。

美しいバニーガール達が迎えてくれる、不思議な会員制クラブのお話です。引き締まった脚のラインに、色の濃いストッキング。形の良いヒップに、フワフワなウサギのしっぽ。

ウサギ耳に、ぴったりしたバニースーツが、質感も豊かに描かれています。それでいて、少しもいやらしさが無いのは、女性作家さんの故でしょうか。優しく飲み物を勧め、魅力的な笑顔を向け、話を聴いてくれる。それでいて、不埒なお客にはしっかり釘を刺す。

そんな一人のバニーガールに、あるお客が話しかけます。二十年前にも、貴方にそっくりな店員がいたと……夜の間だけ現れる、夢のような味わいの短編。

二つ目は、「モードリン・ベイカー」。

ある英国屋敷に勤める美しいメイドと、彼女が仕えるお坊っちゃんのお話。

お屋敷の坊っちゃんは、学校の休みで実家に滞在中。ところが、メイドのモードリンは昔のように彼を子供扱いするので、少々不満。あれこれ世話を焼かれるのが嫌な、思春期の坊っちゃんと、彼を弟のように想う、お姉さんメイドが微笑ましい短編。美人でクールで有能なお姉さんを、しっかり堪能出来ます。他にもコラムや後書き漫画がたっぷり、読み応え抜群な一冊。