「悪魔の手毬唄」横溝正史

探偵・金田一耕助が登場する事で有名な、日本の推理小説のひとつです。
人里離れた温泉地で連続殺人が起き始めます。
被害者の多くは若い女性で、死体の姿が異様です。
最初の被害者は口にじょうごを咥えさせられ、滝の水が口に入るようにされていました。
次の被害者は酒蔵で作り物の大判小判がつけられた状態でした。温泉地に来ていた私立探偵・金田一耕助が温泉で出会った老人・放庵も行方不明。
放庵と復縁しに来たというおりんという老婆と金田一は道ですれ違った事がありましたが、おりんは昨年すでに他界している人間でした。
そして、この村に伝わる手毬唄に沿って殺人が行われている事が判明、事件の背景には20年以上前にこの村で起きた悲しい事件がありました。
この小説は、夜道に提灯をともして歩く姿や、当時の日本建築の様子など、太平洋戦争前の日本の田舎の風景が見事に描き出されています。
そうした日本の原風景の中で、犯人が殺人に至った悲しい物語が情緒的に描かれ、奇怪な殺人事件と過去の事件が最後に一本の筋でつながります。
作家の横溝正史は金田一耕助の登場しない推理小説も書いていますが、金田一耕助が登場するシリーズの特徴は、起こる殺人事件が奇怪である事と、それが単なる謎解きに終わらず、背景に人間ドラマが存在する点が素晴らしいです。