東野圭吾さんの「容疑者Xの献身」の感想

 東野圭吾さんの小説「容疑者Xの献身」の感想を書きたいと思います。本書のあらすじは、元夫を殺してしまった女性を助けるため、その隣に住む数学教師が犯罪の隠蔽工作を行う、というところからスタートします。本書が本格ミステリと呼べるかどうかはさておき、私はこの小説を「ミステリもの」として読み始めました。

ネタバレはもちろん避けますが、一つ言えることは、この小説はミステリ小説として非常に完成度が高いです。期待以上の面白さを味わわせてくれました。ですので、普段ミステリ小説を好んで読む方はこの小説も楽しんで読んで頂けるものと思います。

東野圭吾さんの作品はとてもきれいで読みやすい文章で書かれているので、本書もミステリの「旨み」を楽しむ際にストレスを感じさせません。物語のプロットにスムーズに没入でき、作者が仕掛けたトリックをありのまま味わうことが出来ます。本書のミステリ要素の軸が一体どこにあるのかということは、最後の最後になるまで私は分かりませんでした。

そこに至るまではどこにミステリ要素があるのかさえハッキリしませんでした。そして、物語の真相が明かされるとき、「そうだったのか!」という、ミステリ特有の心地よい驚きを感じました。また、本書はミステリ小説としての完成度以外にも、「人間を書いた作品」としても秀逸だと感じました。

特に、上記の数学教師の人間味には心を動かされました。本書は、ミステリ好きの人はもちろんのこと、普段そういった小説を読まない人にも自信をもっておすすめできる一冊だと思います。